消極損害

消極損害とは、交通事故の財産的損害のうち、被害者が事故に遭わなければその将来において得たであろう利益のことをさす。

傷害事故の場合は休業損害として発生し、死亡事故や後遺障害事故の場合は逸失利益として発生する。

交通事故による損害は、物損や怪我など、直接的な被害だけではない。その交通事故がなければ被害者はなにも変わることなく、普段の生活を送ることができていたはずである。事故の程度にもよるが、被害者の生活を変えてしまうインパクトが交通事故にはあり、被害者が怪我をしてしまっている場合、それが治癒するまでは少なからず被害者は不自由な暮らしを強いられていることとなる。

怪我の治療費などは実損に数えられるので積極損害にあたるが、その怪我のせいで仕事に行けなくなってしまい、収入が減ってしまった場合、それは休業損害となる。

しかし、後遺症などで実務に支障が出て給料が下がってしまったという事態をどこまで補償するのかという点などは事故のそれぞれの案件で金額の算出が難しい部分であり、事故の内容が大規模で深刻であるほど、これら消極損害の計算は難解になる。