高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、病気や事故によって脳が損傷され、脳の認知機能に障害が起きた状態のことをいう。交通事故の場合、被害者は救命救急医療の発達によって一命を取り留め、身体が動かせて言葉が話せるなど、一見すると回復したように見えても、脳に損傷を負ったことにより認知力が低下し、感情のコントロールや行動の目的を設定することなど、今まで当たり前にできていたことが突然できなくなり、日常生活や仕事に大きな支障をきたすことがある。

認知機能とは、見る、聞く、触る、嗅ぐ、味わうといった五感から脳が情報を受け止めて、何らかの行動に移すまでの脳で起こる一連の過程のことである。脳で受けとめた情報を記憶と照合して状況を認識したり、新しいことを憶えたり、どのように行動すれば良いかを判断し、実際の行動に移す等の高度な脳の働きを指す。

高次脳機能障害の患者は外見が健康な人と同じに見えるため障害の有無と家族の大変さの立証が難しく、緻密な立証をしないと、高次脳機能障害自体を否定されてしまう可能性がある。

また、医療機関が高次脳機能障害について十分な理解をしていない場合、その深刻さが診断書に明記されず、自賠責保険の等級認定が低く見積もられて損害賠償にも多大な影響を及ぼす可能性があるため、適切な医療機関選びと医師との連携が重要である。