執行猶予

執行猶予とは、裁判所が刑の言い渡しをする場合、一定の条件の下に一定期間、その刑の執行を猶予する制度である。

裁判を経て下された有罪判決であるという点では実刑判決と執行猶予付判決は共通しているが、実刑判決の場合は、判決が確定するとただちに刑務所等に収容されるが、執行猶予付判決であれば刑務所に行く必要はない。仮に、被告人に懲役2年、執行猶予3年という判決が言い渡された場合、被告人は刑務所へは行かず、そのまま社会復帰することが可能である。

初度の執行猶予は、裁判所が情状により付することが可能だが、一定の条件がある。3年以下の懲役もしくは禁固又は50万円以下の罰金の場合に限られ、例えば懲役5年に執行猶予はつけられない。

また、以前に禁固刑以上の刑に処せられたことがないこと、又は、前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日などから5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないことなどの条件がある。

また、執行猶予期間中にほかの犯罪を行い、裁判で有罪とされてしまうと、執行猶予は原則として取り消され、刑務所へ収容される。この場合、執行猶予付判決において言い渡された分の懲役に加えて、執行猶予中に犯した犯罪行為に関する刑期も加算されるため、場合によっては長期間服役しなければならない